豊島区議会における懲罰特別委員会の設置について

豊島区議会ではこの度47年ぶりに懲罰特別委員会が設置されました。いろいろなところでその経緯について尋ねられることや、あまり正確でない情報が流布されているのを目にして、一度自分自身の整理もかねてこれまでの経緯を記載させていただきます。

 

 

懲罰特別委員会は、懲罰事犯があった日を含めた3日以内に文書をもって議員定数の8分の1以上(豊島区議会だと5名以上)が連署した懲罰動議を議長に提出し、※1議会で認められた場合に設置されます。今回の懲罰動議は共産党豊島区議団4名全員と立憲民主党としま3名中2名の署名により提出されました。懲罰の理由としては、*くつざわ亮治議員の一般質問における発言の内容が『無礼の言葉を使用し』、『議会の品位を貶め』たことに対してのものだとのこと。くつざわ議員の一般質問が6月23日に行われ、動議が25日に提出されましたので、懲罰動議提出期限の事犯から3日以内という日程についてはクリアーされています。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

法、規則として地方自治法132条『普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。』、豊島区議会会議規則103条『議員は議会の品位を重んじなければならない』とあります。これに則ってのもの、というのが提案者の言い分です。

 

 

まずこの動議については7月13日の正副幹事長会で初めて正式に披歴され、最初の議論がなされました。その際には自民党会派として私から

「47年間開かれていない懲罰委員会の重み」「憲法で保障された言論の自由に対して、『無礼』という主観的な感覚で議会内でここまではOK、ここからはNGと線を引くことの重すぎる意味」「区民の負託を受けた議員に対する言論の制限を議員が行うことへの疑問」、そして「これまでの他会派の発言にも今回の発言と同等のものがある」

ということについて発言をいたしました。また、議会事務局の説明においては、発言のあった定例会中であれば発言取り消し動議を発議することができ、

懲罰委員会においては発言に対する懲罰の種別を決めるだけで発言取り消しの是非や取り消し内容について議論することはできない

旨のご説明をいただきました。ここが理解できない会派があったように感じております。懲罰特別委員会は懲罰の内容を取り決め、その内容を

 0,懲罰を行わない、1,戒告、2,陳謝、3,出席停止、4,除名 

のいずれにするのか、を審議する場となります。

 

またここで、そもそものくつざわ議員の一般質問の発言(※2の部分です)の背景を紹介します。きっかけは5月25日の議員協議会内において指摘された、日本共産党公認の都議選候補予定者が個人名入りのタスキをかけて屋外で街頭演説を行っていたことからでした。日本共産党の見解ではこれが公職選挙法違反かどうかは「司法の判断」によるものとして謝罪やSNSからの写真の削除を行わなかったわけですが、東京都選挙管理委員会からは都議選立候補予定の政党へ今回通達した文書の中で、政治活動(選挙期間外の活動)において個人名入りのタスキは着用してはならないと明記してありました。そして実際に個人名入りのタスキを着用して政治活動を行っていたのは、私が見る限り日本共産党の候補予定者だけでした。そして議員協議会においても選挙管理委員会からは「違法の疑いがある」という見解が示されております。私であればそうした見解が示された活動については控えますし、日本共産党(他区でも同様の事例があった)だけが行っているもので、謝罪や行為を改めない態度に非常に違和感を感じるものでした。

(なお今回の懲罰とは関連はありませんが、そうした経緯から本会議最終日には懲罰動議を提出した日本共産党に対して、『日本共産党豊島区議団に対し、猛省と謝罪を求める決議』が提出され、共産党豊島区議団の反対、立憲民主党としまの退席を除く全員の賛成により可決されました。)

 

くつざわ議員の一般質問はこれらの活動についての区選挙管理委員会の見解を問うもので、その中で日本共産党に対する発言が懲罰の対象とされています。(なお、発言の詳細については議事録公開前には明かすことができないのでご容赦ください)

 

 

さて、話は懲罰動議に戻って。正副幹事長会ではその他、会派としてまとまらずに署名したことなどもご意見として挙がりました。また、発言が品位を欠くものであったことも。正副幹事長会ではこれらの意見を踏まえて、翌日の本会議にかけられることとなりました。

 

 

本会議では、まずこの動議に賛成するか、の採決がありました(これが※1の部分)。これが否決されれば懲罰委員会の開催もされません。これは自民党豊島区議団、公明党豊島区議団、無所属元気の会が否決に回りました(つまり懲罰委員会を開催するべきではないという意思表示)が、18対16で動議が可決され、懲罰特別委員会の開催が決定しました。ここで私たち自民党豊島区議団が懲罰委員会の開催に同意しなかったのは、正副幹事長会でも述べましたが

言論の自由の観点から今回の発言は懲罰を科すべきものではなくここで議会として発言に線引きをしてはならない

という思いでありました。議会における懲罰とは大変に重いものです。区民の負託を受けた議員の発言を別の議員が制限する。このことの意味を私たちは十分に勘案しなければなりませんし、だからこそ豊島区議会では47年間開催されなかったわけです。まして、主観的な感情をもって懲罰することができることとなると、豊島区議会は懲罰合戦になりかねないとの懸念もありました。

私たちも政権与党として、また議案に賛成した会派として『早く死ねと言っているようなものだ』などひどい言われ方をしてきたこともあります。それでも「それは発言者の考え方だ」と尊重してきたつもりです。しかしながら今回の懲罰委員会の開催によって、議会内での発言は大いに制限を受けるものだ、という基準ができてしまったのです。これは豊島区議会として恥ずべきことではないでしょうか。

一方で、議会発言の表現にふさわしくないものがあることは認められるため、発言内容の削除については議長に一任することとして、同日提出された発言の削除に関する動議には賛成させていただきました。

 

その後、本会議最終日ということもあって正副委員長の互選のためだけの委員会が開催され、私が第一会派の幹事長ということもあって委員長にご指名いただき、1日目の懲罰特別委員会は幕を閉じました。

 

さて、本日21日に開催される懲罰特別委員会の2日目、提案理由の説明、事犯者の弁明、そして審議が行われます。ここでの議論の内容も追ってお知らせいたします。

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